ツェラミカでお取り扱いしているのは、ポーランドの『ボレスワヴィエツ陶器』です。
これはポーランドの南西部、ポーランドとドイツ、チェコの国境近くにある、
Boleslawiec(ボレスワヴィエツ)という町で作られる陶器の総称で、
これらのポーランド陶器は『ポーリッシュ・ポタリー』とも呼ばれます。
ツェラミカでは、この町にいくつもある工房の中でも特に歴史ある
ボレスワヴィエツ社の製品を中心に、ヴェナ社やミレナ社などの
個性あふれる商品を交えながらご紹介しています。
ポーランドのボレスワヴィエツ陶器の魅力のひとつに、
バラエティー豊かな手描き模様があげられます。
中でも特徴的なのは、この目玉模様でしょう。
孔雀の羽根の模様のようなので、ピーコック・アイズと呼ばれています。
▲クジャクの羽根模様を表した「ピーコック・アイズ」
ボレスワヴィエツ陶器は、手作りです。
もちろん、これらの模様は、ひとつひとつ人の手で絵付けされているのです。
スポンジのスタンプを使用した、独特の手法で知られています。
この特徴的なスタンプの技法は、1830年代に始まり、現在も続いています。
スタンプは、バルト海の海綿を使用しているのだそうです。
▲スタンプによる絵付け。
ボレスワヴィエツ社では、陶器の絵付けを4つのグレードに分けています。
1. もっとも基本的な 「クラシック」
2. 少し手の込んだ 「クラシックA」
3. 工房独特のセンスで描かれた 「ユニーク」
4. もっともハイグレードな 「アート」
の4種類です。グレードによって価格も違ってきます。
使用されている色の数や、模様の複雑さによって、グレードが決まっているようです。
「アート」柄の絵付けをすることができるようになるのは、経験を積んだ職人さんです。
そして、その誇りの印として、ひとつひとつの陶器に
手書きでサインを入れているのです。(アート柄のみ)
まるで、ポーランド版 「作家もの」といった感じですね。
▲アート柄に入ったサイン
伝統柄の目玉模様からスタートしてもよし、
個性的なアート柄からスタートしてもよし。あなた次第です。
ひとつ手に取ると、手作りのあたたかさに、きっとファンになってしまいますよ。
そうしたら、ボレス・コレクターの仲間入りです。
どれをとっても同じものがない、世界に一つの「マイカップ」「マイプレート」を、
ぜひ手に入れてくださいね。
▲昔のボレスワヴィエツ陶器
ポーランドのボレスワビエツで
陶芸がこれほど盛んになったのは、いつのことでしょうか?
この地域は、1945年に第2次世界大戦が終わるまでは、
ドイツ語でBunzlau(ブンツラウ)と呼ばれていました。
ドイツの伝統陶器として、似たようなものをどこかで見かけた方もあるかも知れませんね。
ドイツとの国境に近いその町は、今ではBoleslawiec(ボレスワヴィエツ)と
ポーランド名で呼ばれています。
▲古いポストカードに描かれたブンツラウ
クラクフに首都を置き、ポーランド王国として栄えていた14世紀ごろ、
ボレスワヴィエツでは焼き物に適した豊富な土があることから、
陶工が集まり工房を建てるようになりました。
1897年にブンツラウに陶芸学校ができ、
全国から人材が集まるようになったことをきっかけに、
優れた陶工を生み出すことになり、この地方に陶芸が根付いていったようです。
写真は、ボレスワビエツの町を少し高いところから眺めた風景です。
周りを森で囲まれた、緑の多い美しい町ですね。
新しいものも増えてきたようですが、
中世、ルネッサンス期、バロック時代様式など、
歴史的な建造物もいくつも残されていて、
観光で訪れるのにも、魅力的な場所のようです。
ヨーロッパの街でよく見るように、
ポーランドの町の中心には、リネック [rynek] 中心広場というものがあります。
広場には日用品や食品、民芸品や花などを売る露店が並んでいたり、
週末ごとに催し物があったりと、人々が集まっているそうです。
こちらの写真は、美しいタウンホールです。
もちろんその周りはリネック。まさに町の中心です。
ポーランドの町の多くは、第2次世界大戦の戦災で焼けてしまったと聞いていましたが、
このタウンホールは500年も前から、このボレスワビエツの中心に建っているのです。
中には、美しいアーチが幾重にも重なるウェディングホールがあるそうです。
タウンホールを中心に、この町の中央広場を取り囲んでいるのは、古い共同住宅。
19世紀から20世紀の変わり目のころ建てられたゴシック様式の建物です。
現在では、その美しい姿を損なわないように修復され、
ホテルやレストランなどにも使用されているものもあるようです。
窓枠には美しい模様が彫られていたり、バルコニーがあったり、独特の雰囲気を持っていますね。