【第4話】『初めてのアルバイトさん』
初期の頃のエピソードをひとつご紹介しましょう。
ある日、ご結婚式の引き出物を受注しました。ツェラミカにとっては初めてのまとまったご注文でした。ご要望に沿うことができる在庫がなかったため、急遽メーカーへ発注してご用意しました。早めにお問い合わせいただいていたのでとても助かりました。
今でもたいへんご好評をいただいている、こぶりなコーヒーマグとティーカップ&ソーサーです。それぞれの形を1点でお包みするものと2点セットでお包みするものがあり、それぞれを効率よく美しく梱包できるように、専用の貼り箱を4種類発注しました。
どんな柄が入っているかわかるように外にメモをつけて、ひとつひとつ丁寧に包みました。
どれくらい時間がかかったか、どんなにたいへんだったか、あまり覚えていません。
家族総出で、検品したり、箱に詰めたり、のしを貼ったり、包装紙を決まったサイズに切ったり、無心になってお包みしました。なんだかとても楽しい時間だったように思います。
ご注文主のお客さまはお喜びいただけたかな?
引き出物としてお受け取りになった方は楽しくお使いいただけたかな?
ワンオペ時代のできごととして、今でもときどき思い出します。
ひとりだったころ、何通のメールやメッセージを書いたでしょうか。
はじめましてのご挨拶や、お礼、お問い合わせへのご返信や、お詫び、季節のご挨拶……。
直接お話しすることのできない、ネットショップという形ですので、少しでも安心してご利用いただけるように、できるだけコミュニケーションを取ることを大切にしていました。
ツェラミカを通して出会うことのできたお客さまは、みなさんとても温かくて、実際にお会いしたことがあるかのような気持ちになりました。
「こんにちは。ツェラミカのもりべでございます。
いつもツェラミカをご利用いただき、ほんとうにありがとうございます。
前回ご購入いただいたマグカップとセットでお使いいただくと素敵ですね!
ぜひ楽しくお使いくださいませ。
またのご来店を心よりお待ち申し上げております。」
こんな風にしてお客さまとやりとりしているうちに、文通しているような感じになって、何往復もメールしてしまったこともありました。
ひとりだからこそ、お客さまと直接やりとりをすることができました。
どのお客さまがどんなデザインをお好きか、どのようにしてポーランド陶器に出逢われたのか、ご家族とどのようにして楽しんでいらっしゃるのか、日々のやりとりを通してその様子が目に浮かぶような気がしていました。
ありがたいことに、いつの間にかひとりでは対応できない時期がやってきたのです。
名古屋、東京、神戸や大分などの百貨店さまや雑貨店さまにときどき呼んでいただく『出張ツェラミカ』で販売をしたり、先ほどお話ししたような引き出物などのまとまったご注文をいただいたり、何件かの卸先さまとのお取引が始まったり。
幼稚園児の子育てをしながら、英語教室の生徒さんも増え、ツェラミカも多くのお客さまに認知していただけるようになってきて、「これはあかん。誰かに頼ることを考えないと続けていけないぞ。」と気付いたのです。
昔からツェラミカをご利用してくださっているお客さまは、発送商品と梱包することやメッセージを書くことを担当していた「スタッフあかね」を覚えていらっしゃるかもしれません。
「こんにちは。ツェラミカのあかねでございます。
この度はご利用いただきまことにありがとうございます。
…。」
いつものメッセージがこのように変化したことにお気づきだったでしょうか。
スタッフあかねが転職したのち、「スタッフのりこ」が入社して倉庫業務を助けてくれていました。倉庫番として梱包や発送を担当していました。心を込めて贈り物のラッピングもしてくれました。
二人ともポーランド陶器が好きで、お客さまに喜んでいただけるよう、一生懸命に取り組んでくれました。
一部の業務をアルバイトさんにお願いして、私自身は少しゆとりができたはずです。
はずなのですが、これはもう私自身の特性だと受け入れるしかありませんが、いろいろ抱えている業務をうまいことオーガナイズすることがとっても苦手です。
これを解決するには、私の頭の中に入って、代わりに考えたり決定したりできる人物が必要です。いやいや、そんな都合のいい人材、いるわけないですよね。。。
- 【第1話】『ツェラミカネットショップの歴史』
- 【第2話】『もりべの自己紹介』
- 【第3話の1】『初期ワンオペ時代(1)』
- 【第3話の2】『初期ワンオペ時代(2)』
- 【第4話】『初めてのアルバイトさん』
- 【第5話】『身内から強力な助っ人』
- 【第6話】『倉庫業務の外注』
- 【第7話】『ネットショップ制作を夫に委託』
- 【第8話】『岡崎店と岡崎倉庫』
- 【第9話】『ちょっと落ち着いた現在』
- 【第10話】『ネットショップを新たな交流の場に』